横浜ゴムはタイヤ原料のバイオマス化を推進する。合成ゴムの原料となるブタジエンおよびイソプレンを糖などから直接合成する基本技術を新たに確立。モノマー開発に特化し、ポリマー以降の産業インフラを活用することで早期実用化を目指す。ブタジエンはバイオエタノール由来品に対して工程中のCO2排出量を大幅に削減できるほか、イソプレンでは副産物を生成しないといった技術優位性を有する。出発原料の検討や高効率プロセスの開発に取り組み、2020年代前半に商業生産可能な技術水準を確立する計画。
 環境貢献企業をスローガンにすべての活動分野で環境に配慮した施策をグローバルに展開する横浜ゴム。商品開発では「地球温暖化防止」「資源再生・循環」「省資源」「安全・快適性」の4項目の評価点に、平均が従来商品の値を5%以上上回り、かつ全項目で悪化がない商品を「環境貢献商品」と定義し、全取扱商品に占める割合を17年までに100%(13年度93%)にすべく取り組んでいる。
 自動車タイヤでは、LCA(ライフサイクルアセスメント)評価で全ライフサイクルの80?90%を占める使用段階(走行時)のCO2発生量削減を目指して1988年に「ECOタイヤDNA」シリーズを発売するなど低燃費タイヤ市場をリードしてきた。また、タイヤ原料のバイオ化では、かんきつ類の皮に含まれている揮発性の油(オレンジオイル)を軟化剤として実用化ずみ。主成分であるテルペンは天然ゴムと同じイソプレンを基本単位としており、非常に小さい分子サイズにより油脂との親和性が高く、独自配合剤として積極的に展開している。
 開発技術はいずれもバイオマスからモノマーを直接合成する。ポリマー以降の製造工程をそのまま利用するため、生産される合成ゴムの品質・特性は既存品と同一。また、ナフサ由来の既存モノマーとの切り替えやブレンドでの使用が可能なため、原料市況に対して柔軟に対応できるといった利点を有する。
 ブタジエンでは、東京工業大学と共同で原子レベルの構造解析をベースにセルロースから直接合成する固体触媒の開発に成功し、タイヤの主材料であるスチレンブタジエンゴム(SBR)やブタジエンゴム(BR)のバイオ化に道筋をつけた。新技術は商業生産可能な効率性を有しているほか、製造工程からのCO2排出がないクリーンプロセスを実現しているのが特徴。今後、調達コストや収率といった観点から原料となるバイオマスの検討などを行っていく計画。
 一方、理化学研究所および日本ゼオンと共同開発したイソプレンの新合成法は、微生物の代謝反応を利用している。細胞内に酵素を埋め込み、その組み合わせにより代謝回路を設計することでイソプレンを合成させる。理研が有するコンピューターで微生物の代謝経路をゲノムスケールで設計する技術(in silico代謝設計技術)をベースに実現し、副産物を生成せずにイソプレンだけを合成できるのが特徴。合成に時間を要することから、実用化に向けて工業化を可能とするプロセスの効率化を研究していく。

自動車関連ニュースの最新記事もっと見る