住友ゴム工業は、タイヤ性能の大幅な向上を可能とする新材料開発技術「アドバンスド4Dナノデザイン」を発表した。シリカ界面ポリマーの構造や運動、硫黄架橋の不均一性・硫黄架橋の長さ分布、シリカネットワークの運動などをとらえられるのが特徴で、スーパーコンピューター京による広範囲の分子レベルシミュレーションによりゴム内部のストレスや発熱の発生個所を同時に特定することが可能となった。新開発技術をベースにした「ストレスコントロールテクノロジー」では、低燃費性能とグリップ性能を維持しつつ耐摩耗性能を200%向上することに成功している。
 アドバンスド4Dナノデザインは、2011年に実用化した「4Dナノデザイン」の進化版。ナノからマイクロレベルまで、ゴムの内部構造を連続的かつ鮮明に解析しシミュレーションすることを可能とする。新技術によりゴム内部のストレスや発熱がシリカネットワーク運動、架橋構造、シリカ界面ポリマー運動と密接に関係していることを解明。同社では、それをベースにタイヤの3大性能(燃費、グリップ、摩耗)を高次元で制御するストレスコントロールテクノロジーを確立した。
 従来のゴムでは変形で局部的ストレスがかかると、ゴム分子に隙間ができ摩耗の原因となる「ボイド」と呼ばれる空隙が発生する。耐摩耗性能を従来の2倍に高めたコンセプトタイヤでは、ストレスコントロールテクノロジーにより、ボイド発生の原因となるストレスを高次元に制御したトレッドゴムを開発することで、低燃費性能とグリップ性能を維持しつつ耐摩耗性能の飛躍的な向上を実現している。
 材料開発の取り組みでは、新たに高分子と結合するしなやか成分を植物から取り出すことに成功した。既存の石化系軟化剤が時間経過によりゴムから抜け出してしまうのに対して、このバイオ軟化剤はしなやかさを維持し続けるのが特徴となっている。同社では独自のタイヤ材料として16年から量産採用を開始する計画。
 また、タイヤの省資源化につながる2つの新しい技術を開発した。空気充填が不要でパンクが発生しない「GYROBLADE(ジャイロブレイド)」と、タイヤトレッド部の損傷による空気漏れを防ぐ「CORESEAL(コアシール)」。走行時の安全性はもちろん、スペアタイヤが要らなくなるため環境負荷を少なくできる。
 ジャイロブレイドは、金属製ホイールと特殊樹脂スポークからなる車輪の外周にタイヤのトレッド部を接着させた形状をしており、空気充填することなくタイヤの基本性能を満たすことができる。パンクや整備不良による空気圧の過不足の心配がない。
 コアシールは、タイヤトレッド部の裏側にシーラント剤(粘着性・粘度のある特殊材料)を塗布する技術。トレッド部の裏側まで貫通する損傷が発生した場合、シーラント剤が穴をふさいで空気が漏れるのを防ぐ。いずれの技術もスペアタイヤを不要とするため省資源化につながる。

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