金属系軽量素材として利用拡大が期待されるチタンとマグネシウム。耐食性や強度に優れるチタンは、構造材料としてすでに航空機や自動車などで利用されている。資源量も比較的豊富だが、製造工程が複雑なため他の金属材料に比べて材料価格が高いのが課題。一方、比重が1・8と実用金属のなかで最も軽量なマグネシウムは、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)と並び次世代構造材料として注目されているが、構造材料として輸送機器で利用するためには化学的に活性で燃えやすい、加工性に劣るといった欠点をクリアする必要がある。
 「革新的新構造材料等研究開発」プロジェクトで、チタン材については生産性向上を可能とする新製錬技術や製錬・溶解・熱延工程を短縮した高機能薄板製造技術、連続一貫製造プロセス技術を確立するとともに、構造制御や不純物濃度低減による高機能チタン材を開発する計画。2015年末までの第1期で、新製錬技術は鉄含有量2000ppm以下・酸素含有量1000ppm以下の目標値を達成し、工業化に必要な大型装置の仕様設計の検討に着手。高機能薄板製造技術では鉄含有量200ppm以下、酸素含有量150ppm以下(いずれも平均値)、塩素含有量300ppm以下を目標に実験室規模でスポンジチタンを試作し、薄板の気孔率におよぼす圧延条件の影響などを検討したほか、連続一貫製造プロセス技術では熱力学的検討などにより酸素含有量を300ppm以下にする脱酸製錬条件の検討と板厚圧下プロセスの実現可能性の解析を行った。
 17年末までの第2期では、新製錬技術で工業化への展開可能な製錬プロセスの設計指針を構築するほか、チタン材連続一貫製造プロセス技術開発では溶解脱酸技術(酸素濃度300ppm以下)を実現する実機プロセスの技術課題の明確化に着手する。また、高機能薄板製造技術開発では、強度延性バランスの20%向上を目標に実機を用いた大型試験装置の試作に着手するとともにプロセスの最適条件把握を進める計画。
 マグネシウム材の開発では、鉄道車両への適用を目指して組織制御により可燃性や難加工性などの欠点を克服したレアアースフリーマグネシウム材と大型展伸材を製造するための製造プロセス技術の開発に加えて、特性評価技術や接合技術の開発に取り組んでいる。第1期では、易加工性合金としてレアアースフリーでAZ31合金と同等以上の押出速度を実現しつつ、中間目標の引っ張り強度250メガパスカル以上・伸び15%以上を達成する押出材の開発にめどをつけたほか、高強度合金では合金元素の絞り込みと圧延加工条件および熱処理条件の適正化により、中間目標である引っ張り強度350メガパスカル以上・伸び13%以上、AZX311合金と同等以上の難燃性を達成した。また、MIG、TIG溶接法とFSW法とで難燃性マグネシウム合金展伸材を接合する基礎技術を確立するなどの成果も上げている。
 第2期では、易加工性合金で引っ張り強度270メガパスカル以上・伸び20%以上を有し、アルミ合金(A6N01材)と同等以上の押出速度を実現する合金開発を目指す。また、高強度合金では薄板で引っ張り強度360メガパスカル以上・伸び15%以上を実現するための圧延加工条件や熱処理条件の選定に着手するほか、開発合金7インチと12インチの長尺ビレットを用いた複雑形状(長さ12メートルの車両用部品)の押出技術の確立などに取り組んでいく。

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