鉄鋼各社が自動車の車体軽量化を目的に、閉断面構造による独自工法の普及拡大を活発化させている。新日鉄住金が3次元曲げ焼き入れ技術(3DQ)の適用部材を広げる一方、JFEスチールは閉断面成形技術「CP-F」の採用促進を目指して独ティッセン・クルップ・スチール・ヨーロッパとクロスライセンスを結んだ。加工法では、板材から3次元中空形状に成形するフルカール工法や液圧でパイプを成形するハイドロフォーム工法などが、部品設計における閉断面構造の採用の広がりとともに普及が進展している。今後、これら加工法の高度化による鉄系部材の軽量化の取り組みが注目される。
 閉断面構造とは中空部品で断面が閉じた状態にある構造をいう。棒などの内実材に比べて軽いほか、板材や断面が開いた開断面構造の部品に対して同じ板厚で強度・剛性を高められる。近年の車体軽量化を背景に鉄系部材における管材を含む閉断面構造の採用が進んでいる。フルカール工法は板材を多段階プレスにより円筒化する加工法で、管材に使用に比べて材料コストを抑えられるのが特徴。また、金型内部にセットした管材に高圧で液体を注入するハイドロフォーム工法は、優れた成形性や溶接工程を削減できることなどから採用が広がっている。
 JFEスチールが2010年に開発した閉断面成形技術「CP?F」は、汎用プレス機で溶接部位となるフランジがない部品を成形し、端面をレーザー溶接などで連続溶接することで閉断面構造を成形する技術。フランジの省略化により剛性や衝突安全性を維持したうえで、部品重量を10%以上軽量できる。これまで長手方向に曲がった部品での寸法安定性に課題があったが、フレキシブルマンドリルという特殊金型を使用するティッセン・クルップ社の成形技術「T3」を併用することでこれを解決。長手方向に曲がった軽量かつ高精度のフランジレス部品を汎用プレス機で安定して量産できる成形技術として普及を図る。
 一方、新日鉄住金の3DQは鋼管を局部的に加熱しながら焼き入れすることで、強度を高めつつ3次元での曲げ加工を行う管材加工技術。素材鋼管の押し出し装置と高周波誘導加熱装置、均一急速焼き入れ装置およびロボットアームによる曲げ加工装置で構成されており、従来部品に対して30?50%の軽量化が可能であり、1500メガパスカルを有する3次元形状の鋼管製部材が製造できる。
 ホンダの新型NSXでは、強度確保に有利な閉断面部材で高強度化が可能な特徴を生かし、エイチワンと共同で前方視認性に優れるフロントピラーを実現した。金型を使用せずに複雑な形状の超高強度鋼管を高効率で製造できる3DQはバンパービームやセンターピラーなどにも適用することが可能。同社では、今後も車体軽量化ニーズの高まりを背景に提案活動を活発化していく。

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