住友ゴム工業は、天然ゴムの適用拡大に向けた基盤技術の拡充を推進する。新たにパラゴムノキの生合成機構を解明するとともに、天然ゴムの末端基構造を解析する技術を確立した。生合成機構に関する研究成果が植物体以外の天然ゴム生産で展開されることが期待できる一方、末端基構造の解析技術は天然ゴムの性能・特性をさらに向上する改質技術と注目される。いずれも現在開催されている「IRC 2016 Kitakyusyu(国際ゴム技術会議 北九州)」で発表した。
 同社は環境負荷低減を目的にタイヤに使用する原材料の石油外天然資源化に取り組んでおり、天然ゴムの適用拡大は石化原料のバイオマス化と並ぶ取り組みの柱。その実現には合成ゴムの置き換えを可能とする改質技術の確立と、世界的な需要拡大に対応可能な安定供給体制の構築が必要。天然ゴム資源の多様化としてロシアタンポポ実用研究を進める一方、改質の取り組みでは独自の高純度天然ゴム「UPNR」を実用化している。
 天然ゴムの生合成機構に関する研究では、東北大学と連携してゴム粒子を用いたたんぱく質の機能評価方法を開発し、試験管内での天然ゴムの生合成の可能性を確認。天然ゴム合成では「HRT1」「REF」「HRBP」と呼ばれる3つのたんぱく質が重要であり、HRT1がゴム重合を行い、HRBPはHRT1と天然ゴムの蓄積場である膜粒子の結合を補助する役割を有し、REFが膜の粒子の安定性にかかわることを解明した。
 今回の成果はパラゴムノキの高生産品種の選定に応用できるほか、天然ゴムの工業生産への可能性を見いだすものとして注目される。さらなるゴム合成機構の解明を進め、安定供給にかかわる技術開発を推進していく。
 また、大阪大学の高性能NMR(核磁気共鳴)装置および複数の測定法を用い、ゴム特性に影響する天然ゴムの分岐構造を形成すると考えられているω末端とα末端の詳細構造を解明した。ω末端はジメチルアリル基、α末端の構造は4つの異なる構造の混合物であり、これらの構造のうち2つが分岐構造やゲル形成に寄与していることが分かった。
 同社ではタイヤの低燃費性能や耐摩耗性能の向上につながる天然ゴム自体の性能向上や加工性改善につなげていく考え。

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