東洋ゴム工業がタイヤ性能のさらなる向上を可能とする独自の材料開発技術を確立した。基盤技術として、ゴム材料の粘弾性を短時間で定量化するシミュレーション技術とタイヤが転がっている状態や凹凸で変形している状態でゴムの内部構造を観察する技術をナノ分子レベルで実用化した。新シミュレーション技術により車重の支持性能をはじめグリップ性能や振動吸収性などをナノレベルでコントロールできるほか、確立した動態観察技術により燃費性能の向上が可能だ。
 転がりよさ(低燃費性能)と雨天時の制動性(ウェットグリップ性能)など相反する性能を高次元で両立することが求められる自動車タイヤ。そのためには主材料であるゴム素材の進化が不可欠であり、国内タイヤメーカーは低燃費ニーズの高まりを背景に独自の材料開発技術の高度化を活発化している。取り組みはすでにナノレベルの領域に達しており、東洋ゴムでも分析/解析/素材設計/加工という4つの体系を横断的に統合したゴム材料開発基盤技術「Nano Balance Technology(ナノバランステクノロジー)」をベースに理想のゴム材料を追求している。
 新たに確立した基盤技術は解析と分析に関する技術を革新的に進化させた。ナノ解析技術の進化系である「ナノ タンデルタ シミュレーション」は、ポリマーとフィラーモデルを組み合わせた複合体構造が、どのように反応するのかを検証する分子シミュレーション技術。ゴム材料内部の精緻な構造シミュレーションモデルを基に、衝撃エネルギーを吸収する「粘性」と元の形に戻ろうとする「弾性」を定量評価(グラフ化)することが可能であり、求める性能を導くために必要な配合予測の効率化に寄与する。
 開発では精緻なシミュレーションモデル(ゴム材料の構造の可視化)を独自に構築するとともに、同モデルに対して分子動力学シミュレーションを用いることで実現しており、これまで数十年?数百年を要する計算を2?3日でできる飛躍的な短縮化を可能とした。
 一方、ナノ分析技術ではゴム材料内部のフィラーの変化挙動を観察する「ナノ ダイナミック サーチ」を確立し、これまでの静止状態から新たにタイヤが動いている状態でゴムの路面への追従性やフィラーの凝集体(基本粒子の集まり)の動きを可視化することに成功。タイヤの燃費性能の向上にはゴムの変形によりカーボンブラックやシリカなどが摩擦して生じる熱エネルギーの抑制が重要であり、新観察技術をベースに実使用状態に即したより最適なフィラーの分散方法を検討することが可能となった。
 これら基盤技術の進化は既存材料をベースにしたタイヤ性能の向上はもちろん、代替を目的としたバイオマス素材などの研究開発にも有効。同社では、最新技術による新配合ゴムを採用した低燃費性とウェットグリップ性を大幅に向上した新商品「PROXES Sport(プロクセス・スポーツ)」をすでに開発しており、独自技術をベースにさらなるタイヤの高性能化を追求していく。

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