八千代工業は、樹脂製燃料タンクの低エミッション化を推進する。炭化水素(HC)透過規制の強化や燃料タンクの高性能・複雑形状化ニーズに対応するため、機能部品内蔵技術の導入による生産プロセスの高度化を図る。昨年のウェルテッドインナーバックル(WIB)技術の量産適用に続いて、今春からビルトインフューエルタンクシステム(BFS)技術による量産化に乗り出す。いずれもHC透過量の抑制効果があり、同社は製造技術の高度化を通じて同市場における優位性を確保していく。
 八千代工業は燃料タンクとサンルーフを2本柱に自動車部品事業を展開中。燃料タンクはエチレンビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)や高密度ポリエチレン(HDPE)など4種類の樹脂を6層に構成した4種6層タンクを国内で初めて製品化した実績を有する。日本と米国に研究開発センターを設置するほか、製造拠点は国内を含めて世界8カ国で11拠点を展開し、樹脂製タンクで世界トップ5の一角を占める。
 製造プロセスの高度化は、低床プラットフォームの普及拡大や車載システムの充実化を背景としたタンク設置スペースの狭小化や複雑形状化に対応する。エンジンへの安定給油を目的にポンプやチューブ、バルブといった付帯部品が増加しているほか、ハイブリッド車(HV)やアイドリングストップシステムの普及により、タンク内部に揺動音低減を目的とした波消し板などが搭載されるようになっている。
 WIBは開口部(バルブ取り付け口)を利用してタンク内面に部品を溶着する技術で、バリア層(EVOH層)を壊さずに内蔵部品を取り付けられるのが特徴。波消し板の取り付けでは、溶着クリップの採用によりタンクの穴あけ加工を要する従来法に比べてエミッションを低減できる。既存ラインに後加工設備を導入することで量産化が可能であり、同社は米国、タイ、中国の生産拠点で量産体制を構築している。
 BFSは事前に組み立てた内蔵部品を覆うようにブロー成形してタンクを製造する技術。WIBは適用できるタンクサイズが限定されるのに対し、より自由度の高い内蔵部品の配置を可能とする。製造する米国拠点ではすでに成形プロセスの改良を実施しており、今年春から量産を開始する計画。
 昨年はタンク素材として使用するHDPEの特性向上により最大10%の薄肉化を実現している。また、2020年頃の市場投入を目指し、より設計自由度に高いツインシート成形技術の実用化も進めている。

自動車関連ニュースの最新記事もっと見る