新日鉄住金がチタン展伸材の用途開拓を加速している。重量単価から高価なイメージが先行するチタンだが、「低比重なので部品コストはそれほどでもなく、(用途によっては)LCC(ライフサイクルコスト)でメリットを十分に享受できる」(同社)ことから素材に対する理解浸透を推進。BtoC市場向けに独自ブランド「トランティクシー」を立ち上げたほか、材料特性を生かした取り組みでは量産二輪車で世界初採用となったホンダCRF450Rの燃料タンクで、樹脂製を上回る軽量化を実現した。「材料として検討すらされていない用途の方が多い」(同)なか、同社ではチタンの可能性を広く訴求することで事業規模の拡大を目指す。
 新日鉄住金はチタン展伸材の国内最大手。国内製鉄所の設備活用により溶解・分塊?圧延加工までの生産体制を構築し、一般産業向けを主に製品を供給するほか、東邦チタニウムとの合弁会社「日鉄住金直江津チタン」では航空機向けチタン合金事業の強化・拡充に取り組む。研究開発もREセンター(千葉県)を中心に尼崎研究開発センター(兵庫県)、光製造部(山口県)の3拠点で展開しており、外部企業とも積極的に連携し、製品の普及拡大を図っている。
 量産採用された二輪車用燃料タンクでは、本田技術研究所と連携してプレス成形性・溶接性・異方性といった加工上の課題をクリア。薄板(単層)でHC(炭化水素)透過規制に適応することで、重量で4種6層の樹脂タンクを下回る重量を実現した。日産自動車の新型GT?Rでも1・0%の銅を添加し、酸素を低減した独自合金「スーパタイエックス」がエキゾーストシステムに採用されており、四輪車用マフラー素材として既存のステンレスに対する軽量性や心地よいエンジンサウンド、意匠性などから再評価されつつある。
 また、建築土木分野では大分銀行ドーム(大分県大分市)の色調経年変化調査により、独自開発した「耐変色チタン」建材が15年経過後も色調変化が極めて小さく、美麗かつ健全なチタン表面を保つことを実証。また、日鉄住金防蝕とはブチルゴム系粘着層(0・75ミリメートル厚)を設けたチタン箔(0・1ミリメートル厚)シートにより50年超の長期耐久性を実現する独自防食工法の普及促進を図る。
 新たに立ち上げたトランティクシーは、耐変色チタンと無塗装カラーリング技術により、100種類以上の多彩な干渉色の表現を可能とする高意匠性を実現しており「(普及促進のための)ツールの一つ」(同)と位置付ける。同社では東邦チタニウムと鋳造条件などの最適化により組織制御を行うことで、インゴット化せずに直接スラブを製造する直接鋳造技術(DCスラブ)を開発するなど低コスト化も進めており、今後もトップサプライヤーとして市場におけるチタン材料の認知度向上に取り組んでいく。

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