日新製鋼が、射出成形や熱圧着で樹脂との直接接合を可能とする特殊鋼板「プラタイト」の本格展開に乗り出した。自動車業界などで進むマルチマテリアル化の流れを背景に、金属と樹脂との複合化ニーズの取り込みを狙う。先行する湿式技術に対し、採用する際のユーザーの負荷が軽いという優位性を確立しており、ベースとする独自技術は適用素材の拡大といった面でさらなる発展性を秘める。同社では顧客ニーズを見極めながら開発を進めていく計画で、「独自技術でユーザーの嬉しさを増大させていきたい」(同社)考え。
 重量軽減や一体成形による製造コストの低減などを理由とした金属部品の樹脂化に加え、異種材料の複合化による高機能・高付加価値化の取り組みが本格化してきた。先月発売のトヨタ自動車・レクサスLCがマルチマテリアル化により剛性と耐衝突性能を高めつつ軽量化を達成するなど、自動車業界をはじめとする製品開発の現場では、これまでの材料置換からマルチマテリアル化へと取り組みを高度化させつつある。
 需要業界のこうした変化を背景に異材接合技術の取り組みが活発化。その一つである金属と樹脂との直接接合は、接着剤やねじなどの副資材を用いずに熱圧着や射出成形のみで接合する技術。工程削減や接合部の封止性(防水性)向上などコスト・品質面の改善が可能で、特殊な表面処理により金属素材の表面にナノレベルの凹凸を設け、そこに樹脂を流し込み固化させるアンカー効果を応用した湿式法が主流となっている。
 本格展開を開始したプラタイトは「独自に開発した表面改質技術をベースとしている」(同)。熱を介して鋼板表面の改質層と樹脂が化学的に結合することで直接接合を実現しており、熱可塑性であれば基本的に汎用樹脂からエンプラ、スーパーエンプラまで適用可能。基材も同社が製造する各種メッキ鋼板やステンレス鋼板から選ぶことができる。
 湿式法がユーザーサイドの前処理を必要とするのに対し、通常の鋼板と同様にコイル供給された材料をそのまま使用できるのが特徴。酸化や加圧による表面性状の劣化がなく「改質層の状態が担保できれば冷間プレス加工もできる」(同)ほか、メッキ鋼板などを基材とするため非接合部の耐食性に優れる。また、熱圧着に関しては加熱・冷却方法を含めたソリューションとして提案することも可能であり「大面積の接着を歪みなくできる」(同)。
 同社では、第1段階として自社製品を基材にポリプロピレン(PP)やポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などとの接合用途を狙った市場開拓に取り組む計画であり、2月の発表以降これまでに「自動車や家電、建材といった幅広い分野から引き合いがきている」(同)。技術的には箔や型物などにも適用できるほか、接合強度や加工条件などに応じた改質層の改良が可能。
 今後、個別のユーザーニーズに対応しながら技術基盤を拡充する方針で、将来的に「バイオ樹脂なども手掛けていく」(同)と適用素材の拡大に取り組む。

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