自動運転の開発本格化を背景に高度な車両制御技術に対するニーズが高まるなか、タイヤは路面と接する特徴を生かして走行状態を把握するセンサーとするための開発が活発化している。住友ゴム工業はアンチロックブレーキシステム(ABS)などが備える車輪速センサーの電気信号(交流電圧)から、独自のアルゴリズムにより路面状況や車両の荷重バランスを検知する技術を開発。追加のハードウエアやメンテナンスを必要としない汎用性の高さを生かしタイヤセンシング技術のスタンダードを狙う。
 タイヤセンシング技術には、タイヤに取り付けたセンサーから直接データを収集する直接式と、既存システムのデータを活用する間接式の2タイプがある。前者はタイヤバルブなどに圧力センサーを内蔵したタイヤ空気圧警報システム(TPMS)が実用化されているほか、同方式で先行するブリヂストンでは歪みセンサーや加速度センサーを使い、タイヤの摩耗状態や路面状況を把握するCAISコンセプトの実用化を進めている。
 住友ゴムが開発した「SENSING CORE(センシング コア)」は、車輪速信号を応用する間接式のタイヤセンシング技術。急停止時のブレーキ制御を確保するABSではタイヤの回転状況をモニタリングするための車輪速センサーを備えており、そうしたデータをソフトウエア的に解析することでタイヤや路面などの状態を推定する。同技術をベースに実用化したタイヤ空気圧低下警報装置(DWS)は累計搭載台数が2500万台(2016年末)に達しており、新技術では新たなアルゴリズムの開発で高機能化を図った。
 DWSでは車輪回転数と移動距離からタイヤの動荷重半径を、共振周波数からタイヤの剛性を推定し、その変化により空気圧の減少を検知する。センシング コアでは、さらに車体速度とタイヤの回転速度の差からスリップ率を算出し、それと制動(駆動)力との関係から路面の滑りやすさを、また四輪それぞれの周波数特性を比較することで各タイヤの荷重配分をリアルタイムに推定する。路面の滑りやすさではアスファルトのような高μ(ミュー)路(滑りにくい路面)でタイヤ特性を把握し、それを基準に滑りやすさを指標化するが、タイヤ特性を継続的に更新することでタイヤの経時変化に対応している。
 得られた情報は、路面の滑りやすさならドライバーへの警告などに、荷重バランスでは制動力配分の最適化やレーンチェンジなどにおける車両姿勢の安定化に活用できる。
 追加のセンサーが不要のためどのようなタイプのタイヤにも適用できることや、ソフトウエアによる検知なのでメンテナンスフリーかつ高耐久性を実現しているのが特徴。アルゴリズムの開発にはタイヤ特性に関する高度な知見を必要とするが、その改良によりタイヤの摩耗・損傷などを推定することも可能。得られた情報をビッグデータとして収集・分析することで、他の車両へ配信といった交通インフラ的な活用も見込める。

自動車関連ニュースの最新記事もっと見る