山陽特殊鋼のニッケル・モリブデンフリーの高強度肌焼鋼「ECOMAX(エコマックス)4」が主に自動車の駆動系部品向けに採用が進んでいる。高清浄度鋼製造技術をベースに希少資源を使用せずに高強度化を実現するとともに、浸炭用鋼の課題である熱処理変形の軽減に寄与する点が評価されている。部品の小型・軽量化や寸法形状の高精度化、製造工程の省略・簡略化によるコスト低減に貢献することから、より一層の普及拡大が期待される。
 高強度が求められる駆動系部品では、部品サイズや要求強度に応じてクロムモリブデン鋼やニッケルクロムモリブデン鋼などが用いられている。だが、合金成分添加による高強度化はコスト上昇や加工性低下とトレードオフの関係にある。部品の小型・軽量化や製造過程のコスト・環境負荷の低減、静粛性・快適性向上などを可能とする材料特性のさらなる改善・向上が求められている。
 ECOMAX4は、自動車や産業機械におけるギヤ、シャフト、軸受けに代表される駆動系部品への適用を想定して開発した浸炭用鋼。冷間鍛造による駆動部品の製造では、浸炭焼き入れ時の結晶粒の粗大化により強度・靱性の低下を防ぐため、浸炭焼入れ前に「焼きならし」の熱処理が必要。ECOMAX4では、これまでの方策に加えて成分バランスで組織の均質化を図ることで焼きならし工程の省略を可能とした。
 また、油焼き入れ時に部位によって生じる変態開始の時間差を小さくするための成分設計を世界で初めて採用し、浸炭焼き入れ後の矯正・修正加工の簡略化や省略、部品精度の向上を実現。浸炭焼き入れ後に部品表面が適正化され損傷を遅延する固有の効果を備えるほか、温度上昇に対する軟化抵抗を高める合金設計により、従来材を上回る耐ピッチング寿命を達成している。

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