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今更聞けない化学産業の基本を分かりやすく解説:『ソーダ工業製品』編

今さら聞けない化学産業の基本を分かりやすく解説、5本目の今回はソーダ工業について解説します。

ソーダ工業製品を解説


ソーダ工業は、電解ソーダ工業とソーダ灰工業の二つに分類されます。製品は主にカ性ソーダ、塩素、水素、ソーダ灰に大別されます。電解ソーダ工業では、電気分解によってカ性ソーダ、塩素、水素を生成し、一方、ソーダ灰工業では炭酸ガスとアンモニアガスを反応させて合成ソーダ灰を製造します。どちらの工業も塩を主要な原料として使用しており、その塩はほぼすべて輸入に依存しています。

【カ性ソーダ】

カ性ソーダは「水酸化ナトリウム(NaOH)」のことで、水に溶けると非常に強いアルカリ性を示します。これは、酸と中和したり、他の物質を溶かしたり、化学薬品の生産のために使われます。例えば、紙やパルプの製造、化学工業、水処理、非鉄金属の製造、電子製品の製造、医薬品の製造など、多くの分野で使われています。

カ性ソーダを作る産業は「電解ソーダ工業」や「クロルアルカリ工業」とも呼ばれます。ここでは、塩を水に溶かし、電気分解する方法が使われます。電解法には、イオン交換膜法、アスベストを使った隔膜法、水銀法などがありますが、環境への配慮から、日本ではすべてのメーカーがイオン交換膜法に切り替えています。この方法は安全で高品質かつ効率的な生産が可能です。

塩を水に溶かして電気分解すると、カ性ソーダ、塩素、水素が一定の比率(質量比1:0.886:0.025)で得られます。塩素は塩化ビニルや液体塩素、塩酸、次亜塩素酸ソーダ、高度さらし粉などの原料として使われます。カ性ソーダと塩素は異なる需要があり、その需要のバランスを常に考えて生産する必要があります。これが「バランス産業」と呼ばれる理由です。また、電力料金が生産コストの約4割を占めるため、「エネルギー多消費産業」とも呼ばれています。

日本の電解工場は、環境対策の一環として1997年以降にイオン交換膜法に置き換えられましたが、現在は設備の老朽化に伴い、最新の設備に更新されています。例えば、ゼロギャップ方式では約10%のエネルギー効率化が達成されており、ガス拡散電極法では電力使用量を約3分の2に抑えることができます。また、日本の電解工場の約65%は自家発電を持っており、石炭や天然ガスの輸入に依存していますが、原油安による資源価格の低下はコスト削減に役立ちます。

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【塩素】

この気体は空気より重く、刺激臭があります。反応性が高いため、自然界では単独では存在せず、塩化ナトリウムや塩化カリウムの形で見られます。殺菌剤や漂白剤として使われるほか、塩化ビニル樹脂やウレタン樹脂、エポキシ樹脂、合成ゴムなどの製造にも利用され、さまざまな溶剤の製造にも使われます。

【水素】

無色、無味、無臭。空気の比重を1とすると水素の比重は0.069で、最も軽い気体です。

【ソーダ灰】


ソーダ灰(炭酸ナトリウム)は、板ガラスやガラスびんなどのガラス製品の原料として使われています。また、ケイ酸ソーダなどの無機薬品や油脂製品の製造にも利用されています。さらに、ソーダ灰の中間製品は顔料、医薬品、合成洗剤、接着剤、土壌強化剤、皮革、メッキなど、多くの産業や生活関連製品でも活用されています。非常に多くの用途があるため、ソーダ灰はとても重要な製品です。

また、ソーダ灰の新しい用途として注目されているのが炭酸リチウムの製造です。炭酸リチウムは、耐熱ガラスや光学ガラス、セラミック材料のほか、リチウムイオン電池(LiB)の重要な材料として需要が急増しています。

リチウムの製造には、主に鉱石やかん水(塩水)が使われますが、かん水の方がコストが安いため、世界のリチウム需要の約半分はかん水から供給されています。かん水を濃縮して岩塩とシルビナイトを取り出し、石灰を加えてマグネシウムを沈殿させた後、ソーダ灰を加えて炭酸リチウムを回収します。リチウムの埋蔵量の約6割を持つ南米のボリビア、アルゼンチン、チリは、かん水を利用しています。

このコラムについて

このコラムは『ケミカルビジネス情報MAP2024』を要約したものを掲載しています。
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