
製品材料について詳しく解説:プラスチックス② (エンジニアリングプラスチックス) 編
エンジニアリングプラスチックス(エンプラ)は、一般の熱可塑性樹脂と比較して、寸法安定性、耐摩耗性、耐熱性、機械的強度、電気特性などに優れている合成樹脂です。これらの特性により、自動車、電子機器、OA機器などで高い性能が求められる部品や材料として幅広く採用されています。本記事では、各種エンプラとその特性、多様な用途を詳しく探ります。
エンジニアリングプラスチックス(エンプラ)とは
一般に知られているエンプラとしては、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA、ナイロン6とナイロン66)、ポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)が挙げられます。
特に耐熱温度が150℃以上のものは「スーパーエンプラ」と呼ばれ、フッ素樹脂やポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマーなどが含まれます。高温環境下でも安定した性能を持続できる優れた特性により、幅広い分野で採用されています。
代表的なエンプラとその特性
ポリアセタール(POM)
ポリアセタールは、ホルムアルデヒドを重合した結晶性の熱可塑性樹脂で、優れた機械的性質と耐疲労性を備えています。強靭性や耐摩耗性も高いことから、自動車の部品や電気機器の部品をはじめ、幅広く利用されています。
ポリアセタールにはホモポリマーとコポリマーの2種類があり、それぞれが異なる特性を持っています。ホモポリマーは剛性が高く、機械的強度に優れています。一方、コポリマーは化学的安定性や高い耐熱性を誇ります。いずれも強化繊維やフィラーを添加したり、他の樹脂と混合したりすることが少ない点が特徴です。
ポリアミド(PA)
ポリアミドは、「ナイロン」として一般に知られる強靭な合成樹脂で、耐摩耗性、耐薬品性に優れています。ナイロン6やナイロン66といった製品は、汎用性が非常に高く、自動車部品や電気・電子機器の部品、雑貨など、用途は多岐にわたります。
ポリカーボネート(PC)
ポリカーボネートは、その透明さと、耐衝撃性や寸法安定性が特徴です。熱可塑性樹脂として、特に各種電子機器や自動車の部品、および光学用途で多く採用されています。透明であるため、光学ディスクやカメラのレンズといった用途でも注目されています。
また、成型加工性にも優れており、さまざまな形状や大きさに成型することが可能です。この特性は、製品開発において大きな自由度をもたらします。例えば、モビリティの分野においては、電気自動車(EV)の普及に伴い、軽量化が求められる中で重要な役割を担っています。外装のデザイン変化に対応できる加飾性も相まって、採用事例は増え続けています。
ポリブチレンテレフタレート(PBT)
ポリブチレンテレフタレートは、高い剛性や熱安定性、耐摩耗性、低吸水性が特徴のエンプラであり、電気特性にも優れています。このため、自動車部品や電気・電子部品として広く活用されています。特に、自動車の電動化に伴って電装部品の需要が増加しており、PBTの重要性は増しています。
変性ポリフェニレンエーテル(PPE)
変性ポリフェニレンエーテルは、フェノールとメタノールから合成される樹脂で、優れた耐熱性や絶縁性、低吸水性、低比重、難燃性などの特徴があります。このため、電気機器や自動車部品、家電製品に多く用いられています。
特に電気自動車(EV)などエコカーや太陽電池(PV)、リチウムイオン二次電池(LiB)など、新規用途も増えています。
このコラムについて
このコラムは『ケミカルビジネス情報MAP2025』を要約したものを掲載しています。
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