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製品材料について詳しく解説:合成繊維 編

私たちの身の回りで使われている衣類や生活資材の多くに、「合成繊維」と呼ばれる化学的に合成された素材が使用されています。これらは主に石油を原料とし、重合や溶融といった工程を経てノズルから押し出すことで繊維化されます。代表的な合成繊維にはナイロン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維があり、「三大合成繊維」として知られています。

主要な合成繊維の特徴

ナイロン繊維は、米デュポン社が開発した世界初の合成繊維で、高い強度と耐熱性を持ち、ストッキングやタイヤコード、エアバッグなどに利用されています。

ポリエステル繊維は、しわになりにくく丈夫、吸湿性がないことが特徴で、衣料から産業資材まで幅広く使われる最も汎用的な繊維です。

アクリル繊維は、軽く柔らかく、ウールに似た風合いを持つことからニットや寝具などに多く使われています。

その他、ポリプロピレン繊維は高い強度や耐摩耗性、耐薬品性に優れ、カビや虫にも強いという特長を持ちます。

高機能化が進む次世代繊維

日本の繊維メーカーは、従来の素材では得られなかった性能を追求し、高機能繊維の開発でも世界をリードしています。

代表例として、高強度のパラ系アラミド繊維や炭素繊維、超高分子量ポリエチレン繊維などが挙げられ、これらは自動車・航空機部品、スポーツ用品、さらには環境保全分野にも活用されています。

日本の繊維産業の現在地と展望

日本の合成繊維メーカーは、世界的に高品質な素材を供給しています。

特に日本の強みは、技術力と開発力に基づく高機能・高付加価値製品の創出にあります。防水、防臭、UVカット、抗菌などの衣料用機能や、耐熱・難燃・軽量性を備えた産業用素材がその好例です。

今後は、環境負荷を抑えたバイオベース繊維やマイクロプラスチック対策繊維、さらにはウェルビーイングの観点からの抗菌・抗ウイルス素材など、人と環境の調和を重視した技術開発が求められます。これには、産学官や異業種との連携が欠かせず、日本の繊維産業は新たなステージへと進化し続けています。

このコラムについて

このコラムは『ケミカルビジネス情報MAP2025』を要約したものを掲載しています。

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