
GHSの話をしよう① つなぎの原則ってつまり何なの
ごあいさつ
こんにちは。化学品管理子(かがくひんかんりこ)です。ここでは、「化学品管理をやさしく軽く」として、化学品管理の基礎的な事項をひとつずつご紹介させていただきます。まずは、化学品管理子の得意なGHSから。GHSは、化学品の危険有害性分類の方法と、その結果をSDS(安全データシート)とラベルで伝えるための国際標準です。日本にはJIS(日本産業規格)として導入されていますが、少しわかりにくい用語や概念もあります。今日は「つなぎの原則」についてお話しします。直感的に理解しましょう。
つなぎの原則(Bridging Principles)の概要
GHSで有害性分類を行う際に、いちいちすべて試験を実施することはありませんよね。厳密に同じ化学品でなくても、既存の試験データを利用してGHS分類を推定するための考え方、それがつなぎの原則です。
- 混合物の試験データが利用できる場合に適用を検討する
- 健康有害性と環境有害性の分類の際適用することができる
- 試験の結果、ある有害性区分に分類される場合と、区分に該当しない場合のどちらにも適用できる
- 「つなぎの原則」には6個の類型がある
- 現在では、既知の有害物質については分類済の情報を入手して計算する方法が主流であり、特に健康有害性については実務で目にする機会は多くない
- GHSの水生環境有害性(短期(急性)・長期(慢性))の評価では現在でも時々目にすることがある
以下では、つなぎの原則の各類型について、直感的に理解しやすいように図を交えながら説明してみたいと思います。
つなぎの原則 ①希釈(急性毒性・皮膚腐食性/刺激性・眼損傷性/眼刺激性・特定標的臓器毒性(単回・反復)・水生環境有害性)
ある化学品Aを、有害性がない化学物質Bで希釈した化学品ABについて、有害性区分をAと同じと推定する。

つなぎの原則 ②製造バッチ(すべての健康有害性・環境有害性)
試験をした化学品と、同じ製品[同じ製造業者によって生産した同じ製品]の他の製造バッチは本質的に有害性が同等であるとみなすことができる。

つなぎの原則 ③濃縮(すべての健康有害性・環境有害性)
試験をした化学品の分類結果が区分1または細区分1A、つまり最も厳しい区分が付いている場合には、その原因となっている構成成分を濃縮したものも追加試験なしで同じ区分とすることができる。

つなぎの原則 ④内挿(すべての健康有害性・環境有害性)
有害性があると考えられる成分の含有量違いの混合物A・B・Cがあって、当該成分の含有量が最も多いAと最も少ないCについて試験した結果、区分が同じとされる場合、当該成分の濃度がその中間の混合物Bの区分も同じであると推定できる。

つなぎの原則 ⑤本質的に類似した混合物(すべての健康有害性・環境有害性)
ある有害性区分について、同じ有害性区分を持つ物質AとCがある。これとBの混合物
- A+B
- C+B
を考えた時、AとCの濃度が等しければC+Bの有害性はA+Bの試験結果によって分類されているものと同じとしてよい。

つなぎの原則 ⑥エアゾール(すべての健康有害性・環境有害性)
試験をした化学品をエアゾール容器に封入したエアゾール製品の有害性は、試験をした化学品と同じとしてよい。ただし、噴射剤の有害性がある場合はそれを考慮する必要があります。

どんな時に重要か
現在では、既知の化学物質についての健康有害性の情報は得られていることが多く、混合物の有害性分類はそこから計算で得ることが一般的です。一方、環境有害性については分類の基準がモデル試験によって得られるLC50・EC50であるため、健康有害性に比較して試験データを利用しやすいんです。特に樹脂コンパウンド等は、混合物になる過程において添加された物質が水中に溶出しなくなっていることも多く、試験によって「区分に該当しない」とできることも多いです。
まとめ-つなぎの原則は「試験データがあるとき」の考え方
つなぎの原則は、ある製品の試験データを関連する製品にも合理的に適用するための考え方です。特に、環境有害性においては今でも混合物の試験を実施することも多く、どのような場合に他の製品に適用できるかをあらかじめ知っておくことが重要です。
原則(principle)という言葉に身構えがちですが、難しい概念ではないんですよ。


