カネカは、新型コロナウイルス感染症の治療薬候補「アビガン」の原薬を富士フイルムに供給すると発表した。治療薬として期待がかかるアビガンは政府備蓄や海外の提供要請に対応するため、今年9月には3月比約7倍の30万人分に増産する計画。カネカは原薬の主要サプライヤーとして増産を支える。

 富士フイルムはアビガンの増産にあたってグループ企業で中間体など原料の増強を推進。また、別の原料のマロン酸ジエチルの国内唯一のメーカーであるデンカは休止設備を再稼働し、5月からアビガン向けに生産を開始する。

 原薬は医薬品になる一歩手前の物質で、カネカは国内工場で設備投資や人員の配置転換などを進めて製造体制を整え、7月から富士フイルムに供給をスタートする。

 アビガンの安定供給を図るうえで海外に原料を頼ることのリスクが大きいことから、増産要請をした政府は国内での一貫生産を志向。医薬品原料のプロセス開発力や製造技術を持つカネカやデンカに白羽の矢が立ったかたちだ。

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