岡本硝子は新型コロナウイルスの殺菌・不活化に寄与する紫外線高反射膜を投入する。殺菌に最も効果を発揮する265ナノメートル付近の紫外線を効率的に反射する2液混合型の熱硬化インキ。インキ販売だけでなく、スクリーン印刷による塗布も手がける。同社は3月末に光学部品メーカーの二光光学(神奈川県相模原市)の買収を発表するなど攻勢を強めており、新製品の開発や新市場の開拓に力を入れていく。

 開発したのは250~400ナノメートルの紫外線を拡散反射させる厚膜。物質表面や水、空気などの殺菌・滅菌装置向けに展開する。300~400ナノメートル用の反射膜はすでに量産を開始している。

 新型コロナ向けの250~280ナノメートル対応反射膜はサンプルワークを進行中。反射率は95・6%と、従来のアルミ基板(49・3%)の約2倍を誇る。とくに新型コロナの殺菌・不活化に効果が高いといわれる265ナノメートル付近の紫外線の反射率が高く「ユーザーから反射率が上がったと高い評価を得ている」(岡本硝子)。絶縁性が高い特徴を持つほか、複雑形状にも対応できる。

 同社は3月末に二光光学の買収を発表。新型コロナの影響で先行きが不透明ななか、攻めの姿勢をみせている。背景にあるのは主力のプロジェクター分野の需要低下。フラットパネルディスプレイ(FPD)の低価格化で教育現場などでプロジェクターからFPDへ置き換えが進む。足元、テレワークの加速で今後はオフィスでも需要減が予想されている。

 新事業の加飾蒸着が化粧品ボトル向けに拡大するなか、プロジェクター用の反射鏡、フライアイレンズの販売減が響き、2020年3月期の経常収支は赤字に転落。新事業の創出に向けて次世代自動車や5G(第5世代通信)分野の取り組みを強化しており、「買収でシナジーを生み出したい」(岡本毅会長)考えだ。二光光学は反射防止コートや導電膜による透明ヒーターなどの技術を有し、「小ロットを二光光学、量産を岡本硝子と工場を使い分けるほか、技術シナジーで新製品を生み出す」(同)。

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