厚生労働省が初診患者に対するオンライン診療を解禁したことを受け、ヘルステックベンチャーによる関連サービスの立ち上げが相次いでいる。MICIN(マイシン、東京都千代田区)は、病院などが留意すべき事項をまとめたユーザーガイドを公表。メドピアも、需要拡大を見据え新ツールを5月中旬に提供する。オンライン診療の定着に向けて各社は工夫を凝らし、需要を取り込む構えだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大防止策の一環として、厚労省は10日付の通知で初診でも電話やパソコンなどを使ったオンライン診療を使うことを容認した。患者が病院などに集まることで、さらなる感染拡大を呼ぶ可能性があるなかで、オンライン診療を有効活用することでそのリスクを減らそうとするのが狙いだ。

 流行収束までの「時限的・特例的」(同省)との位置付けだが、13日から取り組みがスタート。これまで限定的だったオンライン診療だが、初めての受診でも利用できるようになったことで、普及・促進への期待も高まる。

 こうしたなか、マイシンは、オンライン診療を導入しようとする医療機関向けのユーザーガイドを策定した。検査や触診、聴診ができないという環境下では、「実際の運用や判断に戸惑う事例が増える可能性がある」(同社)。そのため、これまでオンライン診療を用いてきた医師による監修の下、患者と病院の取り組むべき事項や流れなどをまとめることとした。

 初版となる今回のユーザーガイドは7頁で構成。とくに初診で注意すべき事柄を中心に盛り込んだ。同社のオンライン診療サービス「クロン」での知見がベースで、状況に応じ、更新する。併せて、新型コロナウイルス感染の疑いのある患者に対応する際に気を付けるべき事項も掲載した。

 2016年に遠隔医療事業を開始したメドピアも、オンライン診療向けの新ツール「ファースト・コール・フォー・オンライン診療」を5月に投入する。テレビ電話画面やチャットなどをオンライン診療で必要となる機能に特化したのがポイント。導入時の疑問点などに答えるガイドもウェブ上で公開し、負荷軽減を図っている。

 「クリニックの医師がオンライン診療を始める第一歩を支援する」(同社)というのがコンセプト。パソコン、スマートフォンともに利用できる。多くの病院に検討してもらうため、20年12月末までの間は無料で提供する。また、同社が手掛ける別のサービスとも組み合わせ、オンライン服薬指導までワンストップで提供できる体制の構築も目指す。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

ライフイノベーションの最新記事もっと見る