中央社会保険医療協議会(中医協)は4日の総会で、新型コロナウイルス感染症治療薬「ベクルリー」(一般名・レムデシビル)の保険適用を了承した。これまでは国が買い上げて医療機関に無償提供してきた。コロナ治療薬には公費が使われるため、保険適用後も患者負担はない。薬価は治療1回(成人5日間)当たり約38万円。

 ベクルリーは昨年5月に特例承認されたが薬価収載はせず、厚生労働省が買い上げて各医療機関に配分してきた。安定供給の見通しが立ったため、製造販売元のギリアド・サイエンシズが保険適用を申請した。国の在庫が終わってから通常の医薬品と同様の流通体制に移行する。保険適用後も当面は患者負担は生じない。

 薬価は1瓶(100ミリグラム)約6万3000円。成人は基本5日間で6瓶使うため、約38万円の薬剤費になる。今年度の投与患者数は約4万3000人、販売額は181億円と予想されている。有用性加算などの補正加算は適用されなかった。

 総会では、同剤以外の新薬も薬価収載が了承された。12日付で収載予定。

 高い有効性などが評価されて補正加算が薬価に上乗せされたのは、急性肝性ポルフィリン症治療薬「ギブラーリ」(アルナイラム・ジャパン)、短腸症候群治療薬「レベスティブ」(武田薬品工業)、神経芽腫治療薬「ユニツキシン」(大原薬品工業)、抗生物質「レカルブリオ」(MSD)など。ギブラーリはsiRNAの核酸医薬品で、有用性加算40%、市場性加算10%を獲得した。

 脊髄性筋萎縮症治療薬「エブリスディ」(中外製薬)は、費用対効果評価の対象外とする案を厚労省が示したが、支払い側委員の提案により再検討することになった。同剤の1日薬価は約6万3700円。1年間服用すると年間2300万円以上の薬剤費になる。

 再生医療等製品として承認されたがん治療用ウイルス療法「デリタクト注」(第一三共)も保険適用。1瓶約143万円で、先駆け審査指定制度加算10%、市場性加算10%が上乗せされた。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

ライフイノベーションの最新記事もっと見る