テルモは20日、輸血用の血液を安全にする装置「ミラソル」の新型コロナウイルスに関する研究について、国際的な血液学の医学誌「Vox Sanguinis」に掲載が受理されたと発表した。コロナから回復した患者の血液を使う「血漿(けっしょう)療法」に注目が集まり、輸血の安全性が重視されるなか、米子会社のテルモBCT(コロラド州)がコロラド州立大学と共同で研究を実施した。ヒトの血漿製剤と血小板製剤に新型コロナウイルスが多数存在する場合、ミラソルの病原体を低減化させる技術が有効であることを示した格好だ。

 テルモBCTが開発・販売するミラソルは、血液の製剤化手順においてリボフラビン(ビタミンB2)を加えて紫外線を照射することにより、ウイルスや寄生虫のほか、細菌などの病原体を低減化する機能を備える。全血製剤や血小板製剤、血漿製剤への使用に対し欧州での販売に必要な安全基準認証「CEマーク」を取得しており、世界20カ国以上に展開する。

 新型コロナウイルスに関しては、輸血で感染するとの証明は報告されていないが、一部の血液センターでは安全性を高めるために血小板製剤と血漿製剤にミラソルを使用。国際輸血学会の研究班が推奨していることから一部の医療機関では、抗体があることを確認したうえで回復期患者の血漿を他の患者に投与する治療の際、ウイルスを低減化する目的でミラソルによる紫外線照射が行われているという。

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