ニッポンジーン(東京都千代田区)は、PCR検査の時間を大幅短縮できるキットを実用化した。検体の唾液を一定量の反応液を加えるだけで53分後に結果が判明する検査薬を開発、大幅に効率化できるようにした。プロセスも簡略化されることから、検体処理効率向上にもつながるとしており、今後、同社は体外診断用医薬品として承認申請の準備を進める。

 既存のPCR検査では前処理として95度C5分間の熱処理を必要とする。このため、反応液中の逆転写酵素が活性を失うことを避けるため、検体の熱処理はまず別のチューブで行い、反応液に移し替えるという操作が求められていた。検査自動化を進めるうえでのボトルネックとなっているほか、コンタミが生じ、誤判定につながるというリスクがある。

 今回、同社は95度C5分間の熱処理に耐えることのできる酵素を検査薬に採用。そのまま熱処理ができるようにした。反応液の入ったチューブに直接、検体を加えるだけで良く、熱処理からPCR反応まですべて同一の装置でできるようになる。感度についても既存品と同等以上を確保。国内で流行中のオミクロン株を検出できることも確認したとしている。

 操作がより簡単となるため、検査技師の負担が軽減でき、事故も防げるようになる。手作業でも1日に処理可能な検体数が数倍になると見込むほか、これまで難しかった自動化も可能になるともしている。耐熱性逆転写酵素を使い、反応液へ検体を加えるだけのダイレクトPCR検査薬は世界で初めてといい、ニッポンジーンは薬事承認取得を急ぐ。

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

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