米ファイザーと独ビオンテックは17日、両社が開発した新型コロナウイルスワクチンが、南アフリカなどで感染拡大している変異株に対して有効性が低下する可能性を明らかにした。ワクチン接種を受けた人の血清を使って実験したところ、従来のウイルス株より中和活性が3分の1に低下した。

 米テキサス大学医学部と実施したイン・ビトロ試験で、感染力が特に強いとされる南ア型の変異株(B.1.351変異株)を再現した遺伝子組み換えウイルスを作製して行った。ワクチン接種を受けた治験参加者の血清を使って中和抗体価を測定したところ、南ア型変異株に対する抗体価は昨年1月時点のウイルス株と比較して3分の2低かった。研究結果は医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に掲載された。

 両社は、抗体価は下がったものの、実際の発症予防効果も低下するかは現時点で不明としている。ブラジルの変異株に対しても同様の実験を実施中。

 南ア型変異株は、他社のコロナワクチンも同様の傾向が報告されている。ファイザー製と同じ技術基盤で作られている米モデルナのワクチンも、南ア型に対する中和抗体価が約6分の1に低下した。英アストラゼネカのワクチンも南アの治験で効果がない(有効率22%)と報告され、同国で接種が見送られている。3社とも変異株に対応した改良型ワクチンや、追加免疫を行うブースター・ワクチンの開発に着手している。

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