マナックは、固定化抗菌・抗ウイルス剤の量産を本格化する。これまで皮革製品の抗菌化や医薬品メーカーが商品化したスプレー製品向けなどに限定されていたが、新型コロナウイルス流行にともなう衛生ニーズの高まりで販売が急伸。従来比10倍規模の生産に踏み切り、自社ブランド品の展開も始めた。原液・希釈液の製造を手がける福山工場(広島県福山市)で安定供給体制を強化する。

 広島大学大学院の二川浩樹教授と共同開発した固定化抗菌剤「Etak(イータック)」は、手指消毒などで多用される4級アンモニウム塩と、シラン化合物を組み合わせたエトキシシラン系の化合物で、エタノールや水で希釈して使用する。

 各種インフルエンザウイルスなどエンベロープウイルスのほか、ノロウイルスなどノンエンベロープウイルスにも効果が期待できる。効果は単体で約30日間持続。クラボウ開発のEtakを用いた抗菌・抗ウイルス機能繊維「CLEANSE(クレンゼ)」では、50回の洗濯を経た後も抗菌性能の低下がほとんどみられないことが確認されている。

 次亜塩素酸ソーダや消毒用エタノールなどに比べ、乾燥後も効果が持続する点で優位性がある。また、金属や繊維基材を腐食させない利点もあり、幅広い基材への塗布が可能。現状では固定化の難しいプラスチック基材への適用を視野に新グレード開発に着手しており、さらなる用途拡大を目指す。

 マナックはこのほど、自社ブランド品として業務用希釈液「Etakセーフティーコート」を開発。マスクや作業着などへの塗布、病院や介護施設のほか事務所、対面営業店舗向けでも販売が拡大しており、福山工場での生産量を大幅に引き上げる。

 Etakは近年、スプレー形態やフィルター向けの適用などで採用例を拡大。エーザイでは除菌スプレーなどに採用され、水をベースとするノンアルコールタイプの「イータック抗菌化スプレーα」を2017年に製品化。ほかにウェットシートなども展開する。また今回、繊維事業を手がけるサンエス(広島県福山市、佐藤卓己社長)が空気清浄機・エアコン向けフィルターKiralyArt(キラリアート)を製品化。同技術を応用した「4層構造マスク」の試験販売も始まった。今年2月には北里大学でのフィルターの性能評価結果を発表。ネココロナウイルス(FIPV)に対する効果が確認された。

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