中外製薬は、関節リウマチ薬「アクテムラ」の安定供給体制を整える。新型コロナウイルス感染症への有効性が期待されるなか、需要増をにらみ、戦略提携先であるスイスのロシュと協力しながら、「安定的に供給できる努力を最大限にしていく」(板垣利明CFO)。併せて、年内に新型コロナウイルス感染症を対象としたアクテムラの国内承認申請も目指す。

 このほど開催した決算説明会で、板垣CFOらが明らかにした。ロシュはアクテムラの製造能力の5割増を目指す方針を打ち出している。ロシュ・グループで供給を担う中外としても備える必要があるとし、「万全を期したい」(同)考えだ。

 アクテムラは、中外が宇都宮工場(栃木県宇都宮市)で原薬と製剤を生産し、世界各地へと供給している。また、原薬では米ジェネンテック、製剤ではドイツのヴェッターにそれぞれ一部を生産委託もしている。

 重度の新型コロナウイルス患者で生じる肺炎に対して有効な効果を示すとして、中国でアクテムラは治療指針に盛り込まれている。ロシュ・グループは欧米を含めた第3相臨床試験(P3)を進めており、6月にも結果が出る見通し。中外も日本でP3を行うための届け出も今月8日に提出している。

 一方、新型コロナウイルス感染拡大による業績への影響は足元では「限定的」(同)だ。ただ、長期化すれば承認申請や治験、創薬活動など「広範囲に及ぶ可能性は排除できない」(同)とした。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

ライフイノベーションの最新記事もっと見る