大阪大学微生物研究所の松浦善治教授らの研究グループは、「要時生成型二酸化塩素水溶液(MA-T)」が新型コロナウイルスに高い有効性を発揮することを実証した。MA-Tを0・01%含む水溶液が1分間の接触試験で新型コロナやSARS、MERSウイルスなど98%以上死滅させた。今後も詳細な消毒効果を検証していく予定。

 MA-Tは化学メーカーのエースネット(東京都港区)が二酸化塩素に独自の触媒などを用い開発した技術。二酸化塩素は欧米で飲料水の消毒剤としても使われ、国際がん研究機関のグループ3(発がん性なし)に分類。一部の食品はFDA(米国食品医薬品局)でも間接食品添加剤として認可されている。MA-Tは低臭気かつ安全性が高く、除菌・消臭システムとして国内ほとんどの航空機や大手ホテルチェーンなどでも採用されている。

 阪大はMA-Tについて、反応すべき菌やウイルスが存在する時のみ二酸化塩素が必要な量だけ水の中で生成するといった作用機序を解明。現在は空間除菌のプロトコル開発について基礎研究なども進めている。

 同大薬学研究科の井上豪教授は「MA-Tは新型コロナに対しての効果も明らかとなった。医療現場における二次感染の防止やマスク、防護服に対して効果的な液剤として役立つことが期待される」と話す。

 MA-T配合の除菌・消臭スプレーは、主にエースネットがOEM(相手先ブランドによる生産)として供給しているが、EC(電子商取引)サイトなどでは品薄の状態だ。エースネットとしては足早に増産体制を構築し需要に対応する模様。

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