テルモは13日、血液を採取し遠心方式で血液成分を分離する装置「スペクトラオプティア」が新型コロナウイルス治療への使用で米食品医薬品局(FDA)の緊急使用許可(EUA)を受けたと発表した。米子会社のテルモBCT(コロラド州)が開発。スイスの検査機器メーカーの吸着カートリッジと組み合わせて使うことで呼吸障害の改善が見込める。新型コロナに対するEUAが治療機器に適用されるのは初の事例。

 呼吸不全で集中治療室(ICU)に入院している18歳以上の患者を対象に使用する。インフルエンザやコロナウイルスなどの感染症では、ウイルスを排除するために分泌されたサイトカインがサイトカインストームと呼ばれる過剰な免疫反応を起こし、重篤な呼吸障害につながる。

 スペクトラオプティアは患者の血液を専用のディスポーザブル回路に通すことで血球と血漿に分離。回路に接続した吸着カートリッジが血漿中に存在するサイトカインを減らし、血液は再び患者の体内に戻る。サイトカインの減少によってサイトカインストームが抑制され、呼吸障害の改善が期待できる。

 スペクトラオプティアと吸着カートリッジの組み合わせについては、公衆衛生の緊急事態である期間のみの使用許諾となる。新型コロナの感染が広がるなか、感染者数が世界最多の米国で順次使用される製品の成果に注目が集まる。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

ライフイノベーションの最新記事もっと見る