米ギリアド・サイエンシズは、新型コロナウイルスの治療薬として開発中の抗ウイルス剤「レムデシビル」について、先ごろ開始した国際臨床試験2本の症例数や評価項目を変更した。当初はアジアを中心に計1000例を登録する計画だったが、4000例に増やす。感染が欧米などにも広がって患者が急増し、治験薬供給にメドが立ったことから試験の拡大を決めた。今月中にも重症患者を対象とする試験の速報値が明らかになる見込み。

 先ごろ開始した企業主導の第3相臨床試験2本について、被験者の登録数を大幅に増やす。重症患者を対象とする試験は当初計画の約400例から2400例に、中等症患者の試験は600例から1600例に変更した。また重症患者の試験では、人工呼吸器を使用している患者を別のグループとして設定した。2月末に試験計画を発表した時点ではアジアを中心に行う計画だったが、3月以降に欧米でも感染者が急増していることから対象地域を広げる。日本も両試験に参加する予定。

 重症患者の試験は今月中、中等症患者の試験は来月に速報値が出ると見込んでいる。

 試験拡大に向けて薬剤の増産も進めている。現時点で14万人分(150万錠)を確保しており、10月までに50万人、年末までに100万人分以上の供給を目指す。

 レムデシビルの有効性は、医師による研究でも明らかになってきた。日米などの研究チームは今月10日付の米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」で、肺炎症状のある重症患者53例に投与した結果、68%(36例)で症状が改善したと報告。25例は退院、7例は死亡した。日本からは9例が登録された。中国・武漢で2月から行われていた医師による臨床研究の速報結果も、今月中に明らかになる見込み。

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