新型コロナウイルス感染症では76%の患者で後遺症が生じる-。国立国際医療研究センター(NCGM)の研究グループは、新型コロナウイルス感染症回復者に対する疫学調査を行ったところ、こんな結果が分かった。後遺症の種類は多岐にわたるが、とくに呼吸困難、倦怠感、嗅覚障害は4カ月後でも約1割の患者で確認。20~30代の若年層でも後遺症の割合が高い。

 このほど開いた東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議で、NCGMの大曲貴夫国際感染症センター長が資料を提出、報告した。昨年2~6月にNCGMから退院した患者78人に聞き取り調査を実施。63人から回答を得た。

 14日間を超えて長引いている症状を後遺症と定義した。聞き取りに応じた全患者中、後遺症を認めたのは48人を数え、76%に達した。年代別にみると20代以上のすべて確認でき、特定の年代に偏在する傾向はみられなかった。

 主な後遺症の症状はせき、呼吸困難、倦怠感、嗅覚障害、味覚障害など。最も目立つのがせきで、呼吸困難や倦怠感が続く。脱毛に関しては24%の患者で生じており、そのうち、64%は調査時点でも脱毛が改善していなかった。

 新型コロナウイルス感染症の後遺症がどのようなメカニズムで起きているのかは未解明であることもあり、現状、確立された治療法はない。そのため、研究グループは「罹患しないことが最大の後遺症予防」と強調、今後も調査を進めていく考えだ。

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