日本赤十字社は新型コロナウイルスの抗体検査キットの信頼性を評価する研究を実施すると発表した。感染の有無のみを調べるPCR検査と異なり、抗体検査はウイルスに過去に感染し治癒しているケースも把握できる。新型コロナは無症状感染者が多く発生しているとされる。感染者の正確な把握に加えて、免疫獲得者を特定できれば医療資源の有効活用、社会や経済を正常化するのに役立てられる。

 ただし、抗体検査キットは複数販売されているが、測定精度に課題があるとされる。このため厚労省は日本赤十字を通じてキットの性能を確かめる。新しい献血血液の一部を研究利用し、保管検体も使う。一方で今回はあくまでも抗体検査キットの評価研究としてのみ行い、検査結果は献血者に知らせないとしている。

 新型コロナの抗体を検出するキットはクラボウ、ヤマト科学、JSRグループの医学生物学研究所、極東製薬工業が中国や韓国、カナダの製品を販売しているほか、スイス・ロシュは日本で5月以降に薬事申請を行う計画。このほか、塩野義製薬も中国品の販売を計画し、シスメックスやデンカは自社開発を進めている。

 厚生労働省は赤十字社との評価研究とは別に、数千人を対象とした抗体検査を近く実施する方針も打ち出している。

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