合成アルコールの引き合いが強まっている。新型コロナウイルスの感染が拡大するにつれて、3月から需要が増加しているもよう。手消毒用は発酵アルコール由来が多いが、一部合成アルコール由来も使用されている。また、機械器具の洗浄用の需要も旺盛だ。国内品は供給余力があるとされるが、輸入品は急速に引き合いが強まったことで玉不足に見舞われている。
 合成アルコールは99度無水品と95度含水品に大別され、内需は年間9万キロリットル(推定)。主に日本合成アルコールが東日本、三菱ケミカルが西日本の供給を担っている。そのほか、南アフリカや英国から99度無水品が流入している。国内品は国産ナフサ基準価格に基づいて値付けされるが、輸入品は海外市況を反映した価格設定となっている。
 需要は電子材料や化粧品向けの伸長によって、年率数%の拡大が予測されている。ただ、足元ではコロナウイルス対策の需要が高まっている。手消毒用はサトウキビを原料としたブラジル産発酵アルコールが主に使用されているが、ナフサ由来の合成アルコールの使用もあり、引き合いが増加している。加えて、機械器具の洗浄用の需要も強い。
 こうしたなか、輸入品は品薄となっている。事業継続計画(BCP)の観点から一定量を輸入品で賄っている顧客もおり、影響を受けている。輸入品販売元からは「3月から一気に注文が集中し、前月の約2倍の量となった」「前月比で約2割増えており、3月末から供給調整をお願いしている」との声もあった。都市封鎖が行われた生産国もあり、物流が麻痺すれば4月以降の調達が危ぶまれる事態となっている。

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