武田薬品工業は16日、同社のワクチン製造を予定していた委託先の工場を、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の新型コロナウイルスワクチン製造に提供すると発表した。武田薬品がドイツのCMO(医薬品製造支援)に委託したワクチン製造を3カ月間中断し、供給が遅れているJ&Jのワクチン製造に充当してもらう。

 武田薬品は、独CMOのIDTビオロギカに、開発中のデング熱ワクチン「TAK-003」の充填、包装工程を委託している。今月から3カ月間、この委託製造を中断し、J&Jのコロナワクチンの製造に代替することで合意した。IDTが独デッサウの工場で、全世界向けにJ&Jワクチンの充填・包装を行う。3カ月経過後はデング熱ワクチンの製造を再開する。IDTは先月、英アストラゼネカのコロナワクチン製造も受託する契約を発表している。

 J&Jのコロナワクチンはウイルスベクターを用いたワクチン。接種は1回で済む。欧米などで緊急承認・推奨されたところだが、各国の契約に対して供給が追いついていない状況。先ごろ米メルク、仏サノフィも自社工場での製造協力を発表した。日本では昨年秋、治験を始めた。

 武田薬品によると、IDTに委託したデング熱ワクチンの製造が3カ月間止まることになるが、供給に影響はないという。武田薬品は独ジンゲンに自社の新工場を稼働している。同ワクチンは今年度中に欧州や新興国で承認申請する予定だったが、来年度にずれ込む見通し。

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