グンゼの米国とベトナムの熱収縮性フィルム(シュリンクフィルム)の生産拠点がフル稼働となっている。2拠点の主力用途は消毒剤などを含むトイレタリーのボトルラベル。新型コロナウイルス感染症の拡大にともない引き合いが強まっている。グンゼは同用途で環境意識の高い大手グローバルメーカーに非塩化ビニル系の同フィルムを供給しており、今後の新型コロナの状況によってはさらなる需要が見込まれる。

 国内の守山工場(滋賀県守山市)と子会社「福島プラスチックス」(福島県本宮市)および中国子会社「上海郡是新塑材有限公司」で生産する収縮フィルムの多くは、飲料用PETボトル向けなどだ。一方、海外子会社「グンゼ プラスチックス&エンジニアリング コーポレーション オブ アメリカ」(カンザス州)と「グンゼ プラスチックス&エンジニアリング オブ ベトナム」(ビンズオン省)での主力用途は、消毒剤や家庭用洗剤などのトイレタリー用ボトルラベルで、一部、手洗い洗剤用ボトルにも使用されている。

 海外では塩ビ系の収縮フィルムがいぜん主流だが、グンゼは非塩ビ系を展開し差別化を図っている。米国からはメキシコや南米、ベトナムからはASEAN(東南アジア諸国連合)の顧客の生産拠点に供給している。

 非塩ビ系でとくに引き合いが強いのがハイブリッドスチレン収縮フィルム。収縮特性があるポリスチレン(PS)を、強度と耐薬品性が高いPETではさみ、複合化した製品だ。トイレタリーのボトルでは、耐薬品性が高いポリエチレン(PE)を用いる場合が多い。同ハイブリッドはPEとの相性がよく、加工時の仕上がりも優れることから、さらなる需要増加が想定される。

 グンゼでは米国およびベトナム拠点での定期点検による設備の一部稼働停止を解除した。3月初めからフル稼働に切り替え、需要に応えていく方針。

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