独ベーリンガーインゲルハイム(BI)は24日、2020年度の業績発表会をオンライン開催し、新型コロナウイルス感染症に対する治療薬を年内にも海外で承認申請する計画を明らかにした。コロナウイルスに対する中和抗体の吸入剤で、治療、予防の両方で開発を進めている。

 BIは、ドイツの大学病院や研究機関と共同で、回復者血漿から同定した中和抗体をコロナ治療薬として開発。昨年12月に最初の第1/2相臨床試験(P1/2)を同国で開始し、吸入剤、静注製剤の両方について安全性、忍容性などを評価している。吸入剤は肺に直接届くため、呼吸器への感染を予防できる可能性もある。BIのフベルトゥス・フォン・バウムバッハ会長は会見で、年内にも申請に必要なデータが出そろい、緊急使用許可を申請したい考えを示した。日本の臨床試験は未実施。

 同社は他の中和抗体との併用療法や、ウイルスの複製を阻害する低分子化合物、抗血栓療法などもコロナ治療薬として研究開発中だ。

 BIの20年業績は、売上高が前年比3%増の195億7000万ユーロ。糖尿病治療薬のSGLT2阻害剤「ジャディアンス」(24億8000万ユーロ)、特発性肺線維症治療薬「オフェブ」(20億6000万ユーロ)が好調だった。研究開発費は過去最高額(37億ユーロ)を投じたが、コロナ禍で営業費用が減ったことや事業売却などにより、営業利益は同22%増の46億2000万ユーロとなった。日本事業の売上高は、同5%増(通貨調整後)の15億ユーロ。動物薬を除くと同6%増(同)の13億3100万ユーロだった。日本もジャディアンスとオフェブが牽引した。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

ライフイノベーションの最新記事もっと見る