第一三共は12日、英アストラゼネカ(AZ)が開発した新型コロナウイルスワクチンの製剤化を開始したと発表した。AZからワクチン原液が供給され、第一三共の生産子会社が国内向けにバイアル充填、包装工程などを行う。AZは3月末までにまず3000万回分を日本へ供給することになっており、第1陣の国内製造が始まった。同ワクチンは日本で承認申請中。承認後は速やかに接種開始できるよう、最終製品の製造が始まった。

 第一三共の生産子会社、第一三共バイオテック(埼玉県北本市)で11日、AZのコロナワクチンの製剤化を始めた。第一三共によると、AZから供給されるのはワクチン原液のみで、充填するバイアルや関連資材は第一三共側で調達する契約になっているという。「新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備事業」で立ち上げた設備を活用して製剤化する。

 完成したワクチンは、接種開始のめどが立つまで第一三共バイオテックの倉庫で保管する。AZのコロナワクチンは通常の医療用冷蔵庫(2~8度C)で6カ月保存できる。国内配送はMeiji Seikaファルマが担当する。同じく明治ホールディングス傘下のKMバイオロジクス(熊本市)も同ワクチンの製剤化を受託する契約を結んでいるが、12日時点では製造を開始していない。

 AZが今回、第一三共に供給した原液の量は非開示。厚生労働省によると、今年3月末までに3000万回分の供給を受けることになっており、この第1陣となる国内製造が始まったと見られる。AZは今年中に合計1億2000万回分を供給する契約を日本政府と結んでいる。このうち9000万回分以上は、JCRファーマが原液を国内製造する。

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