新型コロナウイルスの感染拡大により金属業界で生産調整が広がっている。4~6月期の鉄鋼需要でリーマン・ショック以来の2000万トン割れが見込まれる鉄鋼業界で高炉休止による減産が本格化。特殊鋼も需要減への対応が進む。また、市場規模の小さい非鉄・アルミ業界でも海外拠点の操業や業界再編に影響が出ている。自動車をはじめ需要業界が減産に動くなか、さらなる調整拡大が懸念される。

 鉄鋼業界では、日本製鉄が瀬戸内製鉄所呉地区(第2高炉)、東日本製鉄所鹿島地区(第1高炉)、関西製鉄所和歌山地区(第1高炉)および東日本製鉄所君津地区(第2高炉)で休止およびその準備を進めているほか、コークス炉もこれまでの稼働率の大幅な引き下げに加えて、東日本製鉄所君津地区のコークス炉の一部で、さらなる生産調整休止を実施する。

 JFEスチールも西日本製鉄所(倉敷地区)第4高炉を4月末を目途に休止し高炉改修工事に着手するほか、西日本製鉄所(福山地区)第4高炉で6月末の休止に向けた準備を開始。神戸製鋼所も休止も念頭に状況把握に努めている。特殊鋼では日立金属が東南アジアの一部拠点で操業を停止するとともに4月後半から国内の一部グループ会社で生産調整を予定。大同特殊鋼も現在は前年比70%程度の稼働。受注に合わせた稼働調整を実施しており、現状以上に減産が進めば計画休転なども検討する構え。三菱製鋼も千葉製作所、広田製作所、室蘭製作所で減産を実施している。

 一方、非鉄金属業界は各社とも需要動向を注視している段階であり、今のところ今上期地金計画の修正予定はない。しかし、神戸製鋼所と三菱マテリアルの銅管事業の譲渡時期が6月に延期されるなど業界再編に影響が出ている。また、アルミ業界は日本軽金属HDが北米2次合金拠点を停止中のほか、同社子会社の東洋アルミニウムでは今年度は箔、パウダー・ペースト事業ともに国内外の自動車市場低迷により売上減少を見込む。昭和電工もアルミニウム鋳造のショウティックマレーシア、熱交換器の昭和アルミニウムフィリピンが政府の指示(国内の移動制限)により操業を停止しているほか、アルミ缶を生産するベトナム拠点も操業停止中。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

エネルギー・素材の最新記事もっと見る