AI(人工知能)スタートアップのElixは25日、新型コロナウイルス感染症の治療薬候補を機械学習で予測し、複数の候補を見いだしたことを明らかにした。新型コロナウイルスの複製にかかわる重要なたんぱく質のRNA依存性RNA ポリメラーゼ(RdRp)をターゲットに、化合物の阻害活性を予測。機械学習により、既存薬や臨床試験に進んだ化合物からスクリーニングする研究を行った。研究結果は、査読前論文としてプレプリントサーバーのarXivに投稿されている。

 研究では、C型肝炎ウイルス(HCV)、ポリオウイルス、デングウイルス、インフルエンザウイルスのRdRpに対する阻害活性の化合物データを収集。学習後、そのモデルを利用してスクリーニングを実施した。スクリーニングの対象としたのは主にFDA(米食品医薬品局)承認薬や臨床試験に進んだ化合物で、抗ウイルス化合物と抗炎症化合物。新型コロナウイルスのRdRpの3次元構造も明らかになっているため、ドッキング・シミュレーションも合わせて行った。

 同社のAI創薬チームが見いだした候補には、すでに新型コロナウイルスのRdRpを阻害すると知られるレムデシビルとバロキサビルマルボキシルが含まれていた。HCV治療薬でも、新型コロナに対して有効な可能性があると予測されたものが複数あった。HCVのRdRpの阻害薬であるベクラブビルは、複数のモデルで活性があることが予測され、今回の研究では最も有望な候補薬の1つと考えられる。抗炎症化合物では、ベツリン酸やウルソール酸が候補として挙がった。

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