日本医療機器テクノロジー協会(MTJAPAN)の三村孝仁会長(テルモ会長)は4日の定例記者会見で、「新型コロナウイルス感染拡大の危機的状況に対し、医療機器の安定供給確保に努めてきた」と強調した。だが、世界的にサプライチェーン(供給網)の寸断が顕著になり、「(254社の)会員企業に調査を行ったところ、回答企業の約半数で安定供給に支障が出るケースがあった」と説明。こうした状況を踏まえ、安定供給のための緊急要望書を政府に提出したことを明らかにした。

 要望書には、「医療機器および医療機器に使用する部材の優先的な流通の確保」「医療機器の適正な発注に向けたお願い」「外交交渉を通じた安定供給の確保」「薬機法(医薬品医療機器法)の柔軟かつ迅速な運用による安定供給の確保」「医療機器を扱う企業担当者の安全環境の確保」の5項目を盛り込んだ。

 これらの要望により、「行政からもさまざまな支援を受けているが、サプライチェーンの混乱は今後も予断を許さない」状況が続くとみる。「これからも必要に応じて政府への要望を上げていく」と話す。

 世界がニューノーマル(新常態)に進むなか、医療機器産業は大きな課題を突き付けられている。政府からは一定の在庫確保や生産の国内回帰を求める言及もあるなか、「医療の安全保障を考えるのであれば、医療保険制度や償還価格制度も併せて見直すべきではないか」と指摘。「医療供給体制維持を民間企業の在庫に委ねるのではなく、国としても備蓄を真剣に考える時期に来ている」とも述べた。

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