仏サノフィと英グラクソ・スミスクライン(GSK)は23日、共同開発している新型コロナウイルスワクチンの承認申請手続きを始めると発表した。初回免疫の臨床試験では発症予防効果を示す有効率が58%にとどまった。変異株の詳しい比率は明らかにしていないが、デルタ株やオミクロン株の流行期に評価された最初の大規模治験データになる。日本も試験に参加しており、欧米などに続いて申請手続きに入る見込み。

 未接種者に2回接種する初回免疫の臨床試験では、重症化・入院予防には100%、中等症・重症化予防には75%の有効率だった。すべての症状に対する発症予防効果は58%。解析途中だが、デルタ株への発症予防効果は77%だった。

 初回免疫で他社の既承認ワクチンを接種した人にサノフィ・GSK製を追加接種した臨床試験では、中和抗体価が18~30倍に上昇。初回免疫から同社製を接種した場合は、同84~153倍とさらに高い上昇率だった。

 これらの試験データを提出し、各国・地域で緊急使用許可などの申請手続きを始める。欧米当局などと協議を始めており、日本もこれに続く見通し。初回免疫、追加接種の両方で実用化を目指す。

 サノフィのワクチン抗原とGSKのアジュバント(免疫増強剤)を組み合わせた組み換えたんぱくワクチン。塩野義製薬が開発中の組み換えたんぱくワクチンと同様の製造技術を使い、昆虫細胞を使って抗原を培養する。日本向けの生産は、塩野義製と同じくUNIGEN(ユニジェン、岐阜県池田町)に委託することを検討している。

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

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