ニチレイバイオサイエンス(東京都中央区)は16日、新型コロナウイルスの変異を同定するPCR検査薬(写真)を早ければ来週中に発売すると発表した。コロナの感染有無の判定と同時に、英国型、南アフリカ型、ブラジルの変異株を判別できる。研究用試薬として展開し、自治体の衛生検査所や研究機関、医療機関などでの利用を見込む。

 ニチレイバイオは韓国の臨床検査薬大手シージーン社から導入し、コロナ向けPCR検査薬の販売を始める。すでに日本でも広く普及している米バイオ・ラッドラボラトリーズ製のPCR検査装置「CFX96」で測定できるほか、他企業の装置でも対応できるか確認作業を進めている。

 検査薬は1回の測定で新型コロナウイルス特有の「RdRP」遺伝子を検出すると同時に、ウイルスのスパイクたんぱく質で報告されている英国型、南ア型、ブラジル株に共通する変異遺伝子「N501Y」、英国株の「HV69/70del」、南ア型とブラジル株の「E484K」の3つを検出できる。

 コロナ変異株を判別するPCR検査薬はロシュ・ダイアグノスティックス(同港区)も2月に研究用試薬を売り出している。

 国は変異株の検査体制を強化する方針だ。田村憲久厚生労働相は16日の閣議後会見で、「PCR陽性者の5~10%に行っている変異株のスクリーニング検査数を最大限に引き上げていきたい」と話した。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

ライフイノベーションの最新記事もっと見る