米リジェネロン・ファーマシューティカルズと仏サノフィは抗体医薬「ケブザラ」(一般名・サリルマブ)を新型コロナウイルス感染症治療薬に転用する開発を中止すると発表した。各国で臨床試験を行ったが有効性が見込めないと判断。試験には日本も参加した。

 コロナ重症患者に投与した第3相臨床試験(P3)で、有効性が確認できなかったとしてまず米国の試験を中止。同国以外のP3は継続してきたが、プラセボ比較で有意差を確認できなかった。統計学的有意差はなかったが、プラセボ群より入院期間が2~3日短縮され、極めて重篤な症例では死亡率が低下する傾向は認められた。P3には約420例が登録され、日本も参加した。

 ケブザラはIL-6というサイトカインの働きを抑える抗体医薬。新型コロナで重い肺炎を起こす免疫異常(サイトカインストーム)に対する有効性が期待されていた。同じ作用機序を持つ中外製薬の「アクテムラ」もコロナ重症例に対する臨床試験が行われているが、同剤も海外試験で有効性を確認できなかった。

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