中外製薬の奥田修社長は26日、同社が開いた新型コロナウイルス感染症薬「ロナプリーブ」(写真)説明会で、同薬の予防投与、皮下注射に関しても「検討していく」との考えを表明した。予防にも効果があるとの報告もあるが、今の日本での承認の対象は治療のみとなっている。投与方法も点滴だが、外来などで使いやすくするため、医療現場からは皮下注射を求める声も上がっている。

 ロナプリーブは、2種類のウイルス中和抗体を投与直前に混ぜ合わせて使うため、「抗体カクテル療法」と呼ばれている。米リジェネロン・ファーマシューティカルズが創製し、昨年12月に中外は親会社スイス・ロシュを通じて、日本での権利を獲得。今年7月に日本で特例承認を取得した。5月には日本政府との間で2021年分のロナプリーブを供給していくことで合意している。

 奥田社長は、これからの課題として(1)必要供給量の確保(2)適正流通・適正使用の推進-を挙げた。国内で感染者が増えるなか、すべてを輸入に頼るロナプリーブの供給不足も懸念されるが、「必要量を確保していく」と強調。一方、中外による国内生産には生産で使うタンクの増設や技術移管に「時間がかかる」とし、否定的な見解を示した。

 また、同社が日本で新型コロナウイルス感染症薬として開発中の経口剤「AT-527」については、今年下期にも治験結果が出る見通しであることを踏まえ、「22年の申請を目指す」とした。同じく開発を進めているバイオ医薬品「アクテムラ」は当局と申請可否について「協議中だ」と述べた。

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