塩野義製薬と島津製作所は8日、折半出資する新会社「アドバンセンチネル」を設立したと発表した。感染症のリスク評価などを手がけ、これまで両社が取り組んできた新型コロナウイルス感染症の流行を下水の状況から分析、把握・予測するモニタリング技術の社会実装を担う。介護施設や病院、下水処理場などに提案し、2~3年内に年商10億円を目指す。

 新会社は先月発足し、資本金は2億円。大阪市にある塩野義の本社内に置く。両社は昨年6月、下水モニタリングをテーマとした業務提携の基本合意書を交わしている。海外の状況などを踏まえ、独立した事業体として運営できると判断し、立ち上げにいたった。

 下水モニタリングとは施設や処理場の下水を採取し、どのくらいのウイルスや細菌が存在するかを調査、分析する技術。新型コロナの場合、無症状でも検出可能なため、施設や地域といった集団での流行の兆しをつかむことができる。欧米では確立したシステムとして運用されているという。

 まず実用化にこぎ着けている新型コロナウイルスをターゲットに展開し、インフルエンザなど需要の高いウイルス、細菌にも広げていく。また、肥満で生じる代謝物などを調べることで地域の健康を「見える化」するサービス提供も視野に入れる。

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

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