塩野義製薬は19日、東京大学発ベンチャーであるハナバックス(東京都中央区)と経鼻投与型の新型コロナウイルスワクチン開発に関するライセンス契約を結んだと発表した。ハナバックスの独自技術「カチオン化ナノゲルデリバリーシステム(cCHP)」を活用。痛みのないかたちで簡便に投与できるワクチン実用化を目指す。鼻腔内への投与によって効果的な免疫誘導も期待できる。

 契約締結にともない、塩野義は全世界を対象にcCHPを使った新型コロナウイルスワクチンの研究・開発・製造・流通・販売に関する独占権を獲得した。契約一時金などの経済的条件は非公表。開発の進展に応じ、ハナバックスはマイルストンなどを受け取る。具体的な開発スケジュールは「検討中」(塩野義)だ。

 cCHPは天然に存在する多糖のプルランをコレステロール修飾、カチオン化修飾することで粘膜保持制を高めたのが特徴。ワクチン抗原をナノゲル内に封入し、経鼻投与によって粘膜に導入する。

 感染部位の呼吸器粘膜に投与することで、感染・重症化予防効果が見込める。また、一般的なワクチン投与では注射器を用いるが、今回は不要となるため、医療環境の整っていない新興国では使いやすい製剤となる。

 経鼻投与ワクチンの開発は、塩野義グループにとって、インフルエンザ、肺炎球菌に続き3つめ。ハナバックスとは昨年9月に経鼻型肺炎球菌ワクチン開発をテーマとした独占ライセンス契約を交わしている。

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