富士フイルムは19日、少ないウイルス量でも検出できる新型コロナウイルス抗原検査キットを27日に発売すると発表した。写真現像で培った銀塩増幅反応技術を活用。検体抽出液を滴下後、10~13分で判定できる。変異の影響を受けにくい部位を標的にする抗体を用いるため、変異株も高感度に検出できる。検査装置が不要な手のひらサイズで、小売り希望価格は1箱10回分で税別6万円。

 同社の「銀増幅イムノクロマト法」と、横浜市立大学が開発した金コロイドによる標識抗体を組み合わせ、キット化した。2つの技術を使うことでウイルス抗原を検出しやすくした。国内に先駆けて、欧州では今年4月に発売した。

 付属の綿棒で鼻から検体を採取し、抽出液に混ぜた後、キットに滴下。キット上で簡単なボタン操作をするだけですぐに結果が分かる。鼻の浅い部分から採れる鼻腔拭い液でも検査ができるため、患者の負担も少なく、飛沫感染リスクも抑えられる。変異株の「アルファ株」「ベータ株」「ガンマ株」に対するウイルス抗原の検出も確認した。

 同社は今年3月、今回のキットと同様の原理を持つ、装置で新型コロナウイルスを検査するキットを国内クリニック向けに発売した。今回、装置を持たない医療機関や、企業などで行う職域接種による簡易検査キットのニーズ拡大を受け、販売にいたった。

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