小野薬品工業は5日、同社の慢性膵炎治療薬「フオイパン」を新型コロナウイルス治療薬に転用するための第Ⅰ相臨床試験(P1)を始めたと発表した。これまで出ている論文報告などを踏まえ、承認容量を超えた容量で健康成人にフオイパンを投与、安全性を確認する。8月には結果が出る見通しで、内容を踏まえて新型コロナウイルス感染症患者を対象とした治験に進む。

 企業主導治験として行う。目標症例数や治験の実施施設などは明らかにしていない。フオイパンをめぐっては、国内外の病院や研究機関の要請に基づき、同社は臨床試験用製剤を提供してきたが、今回、治療薬となる可能性のある医薬品を有する企業として開発に取り組むことを決めた。

 慢性膵炎などの治療に使うフオイパンについては、新型コロナウイルス感染症への有用性を示す報告を東京大学など複数の研究グループが行っている。感染時に発生するウイルス外膜と人間の細胞膜の融合を阻害するというのが作用機序だ。

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