「キムリア」「ゾルゲンスマ」など、薬価が数千万円あるいは1億円超えの高額薬剤が増えている。これらに対しては「国民皆保険が維持できない」との声が巷間かまびすしい。だが医療政策にはマクロな視点が要る。「キムリアより処方湿布薬の方が保険財政に与える影響は甚大」という客観的なデータを示し、新たな薬価システムを構想する法政大学の小黒一正教授に聞いた。
<単価だけでは見誤る>
◆…新システムの概要を論文にまとめました。
「まず医療保険財政への影響は『単価×処方量×投与期間』という3次元でとらえるべきだろう。例えばキムリアやゾルゲンスマは単価が高いものの、投与患者が限られており処方量は多くない。また、C型肝炎薬のように、完治が見込めるため投与期間が短い薬剤もある。一方で湿布薬は単価が安いものの、高齢者を中心に大量に処方される。単価だけをあげつらうと本質を見誤る」
◆…一般用医薬品(OTC)類似薬の「保険外し論」でも湿布薬はやり玉に挙がっています。