新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、医薬品の臨床試験が一段と停滞している。臨床開発の情報サービス事業を手がける米メディデータによると、4月前半に臨床試験に登録された症例数は前年同期から75%減り、3月から落ち込みが拡大した。日本も57%減に悪化。ロックダウン(都市封鎖)が続いている国を中心に減少率が大きい一方、感染ピークを越えたとされる中国などは改善に転じている。

 全世界で行われていた臨床試験4600件、治験実施施設約18万2200カ所を対象に、4月前半に登録された症例数などを集計した。

 前年同期と比較した減少率の全体平均は75%減で、3月の減少率(65%減)から悪化。とくに落ち込み幅が大きいのはロックダウン措置が続いている英国(98%減)、インド(96%減)で、ほとんどの治験で症例登録が進まなかったことを示唆している。米国も8割減に悪化。諸外国より減少率が小さい日本も、44%減から57%減へ拡大した。一方、感染がピークアウトしたとされる中国は、68%減から39%減に改善し、韓国とイタリアも落ち込み幅が縮小した。

 疾患領域別では、心血管系疾患(95%減)や皮膚疾患(90%減)の症例登録が大幅減。新型コロナの症状が一部関連する呼吸器系疾患も、3月は34%減と影響が比較的小さかったが、4月は8割近く減っている。落ち込みが最も小さいのはがん分野で、約半減にとどまった。

 また、3月に被験者が医療機関を受診した回数(平均)は、昨年10月の平均から17%減少した。

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