香港上場の中国ワクチンメーカーであるカンシノ・バイオロジクス(康希諾生物)は、新型コロナウイルスに対するワクチンの第2相臨床試験(P2試験)を開始する。同社は3月後半に最初のP1試験を始めたばかりだが、わずか3週間で次の開発ステージへ進めることを決めた。新型コロナに対するワクチンでは、現時点で世界最速の開発とみられる。

 同社は3月後半から中国・武漢でP1試験を実施している。9日付で香港証券取引所に開示した内容によると、「P1試験で得た初期の安全性に関するデータ」に基づき、軍事科学院との共同開発でP2試験を開始する。中国や米国の治験登録情報によると、目標症例数は約500例。主要評価項目は接種14日間にあった副反応、28日後の抗体価など。

 試験開始日は今月12日としているが、すでに症例登録が開始されたかは不明。試験が始まったとすれば、新型コロナのワクチン開発では世界で最初のP2試験となる見込み。

 P1試験段階では、米ベンチャー企業によるmRNA、DNAワクチン2品が米国で試験中。

 新型コロナのワクチンは、多くの企業はDNAやmRNA技術を応用した遺伝子ワクチンを開発しているが、カンシノの開発品はアデノウイルス5型のウイルスベクターを使った遺伝子組み換えワクチン。同社は同じ技術を応用してエボラ出血熱に対するワクチンも開発している。

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