東ソーは3日、3月1日付で桒田守取締役常務執行役員が社長に就任する人事を発表した。山本寿宣社長は取締役相談役に就く(6月末の株主総会で取締役退任予定)。同社は2022年度から3カ年の新たな中計経営計画を始動。50年のカーボンニュートラル実現に向け、グループ全体の温室効果ガスの排出削減にも取り組む。その実行を新たな経営体制で臨み、収益・事業基盤の一層の強化と発展を期する。

 桒田氏は入社以来、長く工場勤務した。南陽事業所(山口県)でウレタン原料、四日市事業所(三重県)では機能材料の製造部長を担当。自ら「流れが変わった」とする17年のポリマー事業部長就任を機に、事業部門、管理、購買部門と会社全体を俯瞰できる経験を積んだ。

 契機となった17年の異動は山本社長の指名によるもの。「東ソーはさまざまな製品を作っている。その全体を知り、経験することで、どういった考え方をするのかを見た」と、当時を振り返った山本社長は「経営とは攻めと守り。今後の環境問題対応も含めて、指導力を発揮し、攻めと守りのバランスを取りながら東ソーの企業価値向上を担ってもらえる」と期待を語り「地政学リスク、経済のブロック化、原燃料高、脱CO2など課題が山積するなか、前向き・積極的に取り組み、会社の成長に取り組める人材」と桒田氏を評価した。

 「天気晴朗なれど、波高し」。桒田氏は今後の意気込みをこう語った。過去最高業績でバトンを受け継ぐかたちだが、脱炭素の世界的潮流で利益の源泉だった石炭火力発電は逆風となる。コモディティでキャッシュを稼ぎ、成長分野に投資するハイブリッド経営を踏襲する考え。「機能商品、バイオになるべく経営資源を投じたい」と語るとともに「製造部門も含めて海外でさまざまな経験ができる会社にしたい」との抱負も語った。

 〔桒田 守氏=くわだ・まもる〕84年(昭和59年)大阪大学理学部高分子学科卒、同年東ソー入社。13年理事、16年執行役員、17年上席執行役員、20年取締役常務執行役員。広島県出身、61歳。

会見する桒田次期社長(左)と山本社長

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