産業技術総合研究所(産総研)は、新型コロナウイルスへの感染有無をスマートフォン(スマホ)で判定できる抗体検査キットを開発する。装置は不要で、小型の専用チップ、試薬、スマホがあれば15分で測定できる。試薬はビズジーン(大阪府茨木市)と共同開発中。産総研健康医工学研究部門の渕脇雄介博士は、「研究用機器として1年後の上市、診断薬としては2年後の承認取得を目指す。価格は1000円以下に抑えたい」と話す。

 産総研は、反応場が数百マイクロメートルと極めて狭い空間であるマイクロ流路を用いたチップを開発した。マイクロ流路に少量の血液を希釈した液を閉じ込めると、試薬との反応が促進され、短時間で結果が得られる。

 スマホをチップでかざすと数秒で結果が表示されるアプリも開発した。スマホの専用アプリでチップを読み取ると、チップの発色を解析して陽性か陰性かを判定する。また、病院などへの設置を想定し、スマホを用いず判定する全自動検査装置を堀場製作所と共同開発している。

 コロナウイルスで主に重要な抗原の一つにスパイク・たんぱく質(S抗原)があり、このうちS1、RBD(受容体結合部位)に対するIgG抗体を検査する。また、IgM抗体も同時に検査することで検査精度を高める。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

ライフイノベーションの最新記事もっと見る